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袋草紙

能宣、父頼基に語雲、先日入道式部卿御子日に宜歌仕て候、頼基問之如何、能宣雲、
ちとせまでかぎれる松もけふよりはきみにひかれてよろづよやへむ、世以称宜雲々、頼基暫詠吟して、かたはらなる枕おとりて打能宣雲、慮外昇殿有帝王御子日之時、以何歌可詠哉、わざはひの不覚人哉雲々、能宣須臾に起て逐電雲々、