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卯杖は、正月上卯の日、大舎人寮、諸衛府等より御杖お天皇及び中宮、東宮等に献ずる儀なり、其杖は、曾波木、比々良木、棗、牟保許、桃、梅、椿、黒木、榠樝(くわりん)、木瓜等の、各々長さ五尺三寸なるものお用いる、蓋し精魅お駆逐する法にして、日本書紀持統天皇三年正月乙卯の紀に、大学寮より卯杖お献ぜしお以て、書冊に見えたる始とす、神宮、諸社、及び幕府にても亦之お用いる、卯槌は、桃木にて作りたるものにて、卯杖お献る日、糸所より献る、臣民の間にも亦互に贈遺して之お祝せり、