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公事根源
正月
白馬節会     七日
白馬の節会お、あるひは青馬の節会とも申なり、其故は、馬は陽の獣なり、青は春の色なり、是によりて正月七日に青馬おみれば、年中の邪気おのぞくといふ本文侍なり、仁明の御門、承和元年正月に、豊楽院におはしまして、青馬お見給、同六年正月には、紫宸殿にて御覧ぜらる、されば此馬の事、礼記に春お東郊にむかへて、青馬七匹お用るとあり、七は少陽の数、正月は少陽の月なり、又十節記に白馬お馬の性の本とす、天に白竜有、地に白馬有、又天の用は竜なり、地の用は馬也、人の用は亀也と申本文も侍にや、今の節会には、三七廿一匹おひかるヽなり、是は三は三陽にかたどる、七は七日にあへるよし、寛平の御記にのせられたり、今日の毛つけの奏にも、皆あし毛とばかり有、是白馬おもとヽせる故也、