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源平盛衰記
二十八
天変附踏歌節会事
養和二年〈◯寿永元年〉正月一日、改の年の始の御祝なれ共、諒闇に依て節会もなし、十六日には、蹈歌節会も不被行、当代の御忌月なれば他、〈◯中略〉蹈歌節会と名付て、代々の御門いまだ怠り給はず、哀哉三十余代の節会なり、数百年の吉例也、何んぞ今年始て断絶するや、但平家の一門の過分なりつるしわざなり、所以に臣下勇者、天下不安雲事あり、偏に此体の事なるべし、