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近世事物考
初編
事始いとこ煮(○○○○)の事 世俗、年の二月八日お事始と雲、是は年始の規式事畢て、一年の政事万端の事も、此頃より初る故に、事始と雲、又十二月の八日も、此頃より追々歳暮の規式初る故に、一年の雑事は事納る故にいふ、此日色々の物お汁に煮て、いとこにの汁と雲、是はいも、牛房、大豆などのにえ難き物お、まづ入て、おひ〳〵に煮安き品お入てにるなり、よりて追々煮るといふより、甥々似ると雲て、甥とおひは従弟なれば、追々にるといふことお、いとこにとは戯て雲し物なり、夫より此名始れり、