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歳時故実大概
十二月
一事納め同日、〈◯八日〉今日は此年中の家事雑用おいはひ納るの日なり、故に事納と雲といへり、又一説には、けふは事初なり、新に迎ふる年の祝事お始るの日なりとも雲へり、何れとも定めがたし、両説共に俗説にて、古き書にも、此名目曾て見えざる事也、されどもけふは、年の終り佳日にて、和漢共に竈お祭るの期日なれば、誠に年の終りの祀り納めなれば、事納めと称せん事先可なるべし、此後煤納め餅搗など、さま〴〵の祝事あれども、みな〳〵新に迎ふる年のための営みなれば、今年の事お納るは、実にけふの祀りなるべし、〈二月八日お事初事納めといへるの説と、けふの名目と共に反対也、猶二月の処に合せ考べし、〉