古今著聞集
二釈教
湛空上人、嵯峨の二尊院(○○○)にて、涅槃会おおこなはれける時、人々五十二種の供物(○○○○○○○)おそなへけるに、花おうへにたてヽ(○○○○○○○○)、歌およみて付けるに、西音法師、水瓶に桜お立ておくるとて、よみける、
きさらぎの中のいつかの夜半の月入にしあとのやみぞかなしき
返し 湛雲上人
闇路おばみだのひかりにまかせつヽ春のなかばの月はいりにき
又一首おそへられける
会おてらすひかりのもとおたづぬれば勢至ぼさつのいたヾきのかめ
きさらぎの中のいつかの夜半の月入にしあとのやみぞかなしき
返し 湛雲上人
闇路おばみだのひかりにまかせつヽ春のなかばの月はいりにき
又一首おそへられける
会おてらすひかりのもとおたづぬれば勢至ぼさつのいたヾきのかめ