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諸国図会年中行事大成
二下三月
花盛 閻魔堂大念仏 千本の北、引接寺(○○○)に於て勤之、〈此法会定日なし、但境内の桜開次第開避ありて、十け日の間、(中略)一説雲、千本の念仏は、二月中旬、涅槃会昔行はれしなり、応永十五年三月八日(○○○○)、後小松帝、北山義満公の御所へ行幸の事あり、此時、当寺普賢像の桜、名木の由御沙汰あり、将軍家より、斯波治部大輔義重お使として、明年より、花の盛に念仏お執行すべしと上意あり、則粮米五十石お賜ふと雲々、 其式、毎年堂前の普賢像の桜、開花お期として、寺僧一枝お折て、是お京兆尹に献る、即米三石五斗お賜ふ、是お以七け日法会の料とし、堂前に於て俳優おなす、其技壬生念仏、嵯峨念仏の扮戯に等く、其様各仮面お被り、堂前舞台の上に於て俳優おなす、壬生寺の俳優は、無言にして、手技(てじな)お以て其態お知らしむ、当寺は言お発して、技おなせり、今十け日の間、これお勤む、〉