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諸国図会年中行事大成
二上二月
九日 釈迦堂遺教経会、〈又訓読会共雲、今日より十五日迄、〉上京五辻千本にあり、瑞応山大報恩寺、〈又千本釈迦堂ともいふ〉真言新義、洛東智積院の別院なり、依て智積院の僧衆これお勤む、此経は、釈尊入滅の時、仏弟子の為に遺誡し給ふの経なり、故に遺教経と雲(○○○○○○○)、訓読会とは、此経お訓読するの謂なり、此寺は、用明天皇の御宇に草創して、後猫間中納言光隆卿、此所に住せ給ふよし、今の本堂は、奥州の藤原秀衡建営して、如珠上人お請ず、是当寺の中興なり、〈秀衡上洛の時の車の輪、今尚存して寺内にあり、諺に遺教経に参より、竈の前に参れと雲へり、此節風烈く、尚余寒あれば、京童の斯いふなり、〉寺記雲、等持院殿尊氏降府命、命本寺令(○)行(○)涅槃講(○○○)雲々、