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彼岸は、毎年二月八月の二季、昼夜平分の時お以て、法会お営む例にして、其縁由は詳ならざれども、或は延暦二十五年三月十七日の官符お以て、崇道天皇の為め、国分寺の僧おして、春秋二仲の月七日間、金剛般若波羅蜜多経お続ましめしに濫觴すとも雲へり、此説或は然らん、波羅蜜多は到彼岸の義にして、即ち転迷開悟お謂ふ、此時啻に諸寺院にて、法会お修するのみならず、民家に在りても、或は仏事お営み、祖先の冥福お祈る等の事あり、