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海録

暦に彼岸おのする事は、あづからぬことながら、中古よりのことなり、白河燕談巻の二曰、古老有言、古者如今諸寺説法談義無之、故比叡山坂本廿一箇所有号談義所所、能弁僧出之、春秋二時説法、令在俗聴、諸方群参、因茲為其時節令知、遠近請之暦家書載、到于今同矣と見えたり、むかしは下段に、神よし、仏よし、といへる事のありしお、仏よしは省きて、今神よしのみあり、彼岸はたまたまに残れる事なるべし、又半夏生といふ事も、今は竹の子くはぬ見合にのみなりしなれども、是ももとは七十二候おこと〴〵く中段へ書入たるが、たま〳〵半夏生のみ残りたるにこそあれ、