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公事根源
三月
曲水宴   三日
是はむかし、王卿など参りて、御前にて詩お作て講ぜられけるにや、御溝水に盃おうかべて、文人以下是おのむよし、康保の御記にのせられたり、又顕宗天皇元年三月上巳日、後苑に幸して、めぐり水のとよのあかりきこしめすと、日本紀に有、曲水宴は、周の世よりはじまりけるにや、文人ども水の岸になみいて、水上より盃おながして、我前お過ざるさきに詩お作て、その盃おとりてのみける也、羽觴お飛すなどいふも此事なるべし、又上巳のはらへとて、人みな東流の水上にて、はらへするよし、漢書などにしるせり、