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倭訓栞
前編二十五比
ひヽなあそび 斎宮女御集、源氏物語、枕草紙などに見えたり、雛遊の義也、雛は小形おいふ、ひな形などいふが如し、よて人勝(○○)おもひヽなと呼り、源氏に、元朝にも野分の朝にも玩し事見えたれば、昔は平生の事たりしにや、 ひヽなあはせといふ事、中務家集に見え、ひなやしろは、斎宮女御集にみえたり、 上巳の雛遊は、もと贖物の義也といへり、源氏の君、須磨に左遷の時、三月巳の日陰陽師お召て祓へさせ給ひ、こと〴〵く人形お舟に載て流す事、彼物語に見えたり、一説に幸の神祭の義なるべしといへり、