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源氏物語
七紅葉賀
おとこ君〈◯源氏君〉は、てうはいにまいり給とて、さしのぞき給へり、けふよりはおとなしく成給へりやとて、うちえみ給へる、いとめでたうあいぎやうづき給へり、いつしかひいなおしすへて、そヾきい給へり、三尺のみづしひとよろひに、しな〴〵しつらひすへて、又ちいさきや共つくりあつめて奉給へるお、所せきまであそびひろげ給へり、なやらふとて、いぬきがこれおこぼち侍にければ、つくろひ侍るぞとて、いとだいじとおぼいたり、げにいとこヽろなき人のしわざにも侍かな、いまつくろはせはべらん、けふ〈◯正月一日〉はこといみして、なない給そとて出給ふけしき、いと所せきお、人々はしにいでヽみたてまつれば、姫君〈◯紫上〉もたちいでヽみたてまつり給て、ひいなの中の源氏のきみつくろひたてヽ、内にまいらせなどし給、