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諸国図会年中行事大成
二下三月
三日 上巳、〈又桃の節供ともいふ〉今日お俗に節供と称す、〈◯中略〉今日良賤の児女子、雛祭とて雛人形お祭る、〈雛は小きの謂なり〉是少彦名命お祭なりとぞ、往古は紙偶人(○○○)お用、〈其形、烏帽子お著し袴おはきたる大なる形お男雛といふ、下髪に袖なしに巻たる小なる形お女雛と号し、是お紙雛と雲、大なるは大己貴命、小きかたは少彦名命なりと雲々、或雲、今男雛といふは神功皇后にして、小なるは応神天皇いまだ繦褓の内に居たまふ体なりといふ、何れが是なるやしらず、〉近年は綾羅綿繍おもつて制したるお、衣裳雛(○○○)となづく、又御殿随身橘桜の造り花お荘り、小き調度おならべて饗応す、是児女は幸福有んことお祝するなりと、