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ひな人形の故実
享保の頃は、宿禰ひな(○○○○)とて、土の比々奈用、丹青にて色飾、殿は男山八幡の土お以て作り、姫は加茂の土お用ゆ、 女は高きもいやしきも、よめ入して夫に随ひ、男は外お納め、女は内お納るなれば、家業筋もひな祭になぞらへ、其まヽ手馴ならひ引お本意とすヽめ、家内むつましく質素おむねとなし、粟嶋大明神いたつて小き御すがた故、御ひなのすがたと雲お、ひな人形神歟、唐土にも上巳鏤人(ひな/○○)祭(/○○)も有とか、〈◯中略〉 ひなは、ちいさき義なれば、女子ひなさま事とて、まヽごとなどして、紙びな作、色紙などべヽきせ、婢女奴等つくり、平紙にのりで付、人家むつましき体おいたし玩び、小米ひな(○○○○)といふ、〈◯下略〉