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東宮年中行事
四月
一日改御装束事
このひのあしたに、行事のくら人、ならびに宮づかさら、たちはき、ところの衆、女官等おして、冬の御しやうぞくおあらため、なつの御しやうぞくおよそふ、なつはかべしろおかけず、ござこれおしきあらたむ、かたびらかけあらため、てん上およそほひ、所々のたヽみこれおしきあらたむ、大ばむ所には、ひヾつおとる、てんしやうにはひヾつおとりて、いぎのばむおおく、
 こんあんに、よるのおとヾのふるき御丁のかたびらども、および所々のござは、大ばむ所にたてまつる、女房に是おわかち給はる、ひのござおば、によくわむにわかちたまふ、たヾしござお給はず、とばのいんの御時、ちやうぢぐわむねんの四月に、すけあきすえのあそん三位のヽち、すけいまださだまらざるあひだ、大進あきたかれうお、いん〈◯白河〉より給はりて、とヽのへたてまつる、おなじきとしの十月の、ころもがへのとき、れいにまかせて、女房によくわむにわかち給ふべし、しかるおひれいなりとて、いんのおほせにて、女房によくわんに給はず、ちやうどおさだめたるによくわむらうれへ申、これによりてすけためふさのあそむ、ごぎしよのわたおめして、一人に一とむ、これお給はる、二でうのいんの御時、このれいによりて、いん〈◯鳥羽〉のおほせによりて、きうじゆ二ねむのなつ、みちやうのかたびらおも、おなじきふゆ女房によくわんにこれおたまはらず、是によりてすけちかたかのあそむ、わたくしにわたおたまふ、又所々のてんじやうに、いぎだんぎのばむおおく、しかるお春宮の殿上には、だむぎのばむおおかざるなり、