[p.1145]
幕朝年中行事歌合

十九番 右 端午参賀
御園生の竹のこのよも幾千はたかぶとの花にとりそへて見む〈◯中略〉
端午は、軒毎にさうぶ蓬おさしはさむ事は、都鄙のへだてなし、出仕の人々皆長袴著て、ことぶきおのぶ、其式上巳にかはる事なし、此日より麻の御ぞお奉れり、若君誕生あれば、両御所おはじめ、御方々より菖蒲冑お参らせられ、国主外様譜代の大名よりも是お献ず、北のとのヽ前なる大路に仮屋お建、壇おまうけて是おすゆ、其数いくもヽちなる事おしらず、白地に御紋の旗二十ながれ、紅白の吹ながしなど風にひるがへり、傍に鑓剃鉈弓矢なぐひの類、すべて兵仗いかめしく立つらねたるけはひ、実に武門の有様也けりと見ゆ、