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倭訓栞
前編八久
くすだま 長命縷(○○○)おいふ、風俗通に見ゆ、延喜式に薬玉と見え、五月五日の儀式にある事也、三代実録陽成天皇の七年に始て見えたり、御記に、糸所供奉薬玉、撤去年九月茱萸、以薬玉、差替御柱、前例也と見ゆ、綵糸おもて花お造る、よて清少納言にも、縫殿より御くす玉とて、色々の糸おくみさげて進らせたる、道長公の記にも、糸所薬玉持参と見えたり、薬の玉おつくるおもて薬玉といへる也、内々行事に、若宮は左の御袖、姫宮は右の御袖のかたそぎにつくる、御年は八つ九つの内也と見ゆ、