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古今要覧稿
時令
釈名 くすだま 仲田顕忠曰く、くす玉は、薬玉とかけるによれば、薬玉の意かともおもはるれど、なほしかはあらで、奇玉のこヽろならん歟、さるは、くしは、奇(くす)しく霊なる意にて、くしなだ姫、くしみたまなどいへる類ひのくしの転用にて、漢土にて、霊糸などいへるや、やがてかなふべからん、さらば薬玉の邪気おはらひ、疾お除く霊あるもの故、そお称へて名付たるなるべし、かくはいへども、続後紀などにすら、既に薬玉とかヽれたれば、医師お、くすしといふ類にて、もとより邪気おのぞくの薬となれば、薬玉の意としても、一わたりは聞えなんかし、