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年中行事故実考
六五月
四日 禁中にて御殿に菖蒲おふかせらる、上代は主殿寮これおふきし由、今は小野の郷の百姓まいりてふくなり、人家にて艾菖蒲お軒にさすは、中華艾虎の遺風にて、清少納言が草紙、鴨の長明が無名抄の説によれば、古代よりの風俗にや、陸奥にては菖蒲なきゆへ菰の葉にてふく、西国にて練の葉お菖蒲にまじへさす、是もまた邪気お除く本文あるゆへにや、此日おふき籠りの祝(○○○○○○)といふ、あやめふくえんによりて、福こもると雲意なるべし、