[p.1177][p.1178]
日本歳時記
四五月
四日、沐浴、粽お製すべし、餌粽お製するには、もちよねお用ひず、粳米おきはめて白くし、細末して沸湯にてこね作り、又沸湯にてにる、又うるし米と、もち米等分にして水にて和し、沸湯にて煮もよし、凡ちまき餌などは、米お磨にて引たるはわろし、臼にてつき、末してよし、又粽お煮に、稲柴の灰汁にて煮べしと、月令広義に見えたり、唐の代に端午の粽其品多し、角粽、茭粽、角黍、百素粽、九子粽あり、粽お角のごとくにし、又錐のごとくにし、又菱角のごとくし、又竹の筒のごとくし、また秤の繦のごとくにし、或五色の糸お縄になふて、数珠の如くつなぐもあり、〈我国にもいにしへは、粽お五色の糸にてかざりけるとなん、されば伊勢物語にも、人のもとよりかざり粽おおこせりとかけり、又拾遺集十八の詞書にも、ちいさきかざりちまきとあり、〉或だんごのごとくして、九つらぬるもあり、いづれもまことの葉にてつヽむなり、是お角粽とも、角黍ともいふなり、今日或は明日、粽お親戚に送べし、