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塩尻
七十二
菖蒲かぶとは、元は石打の戯れより起りて、少童のもてあそびなり、近年美お先とし、金銀の箔だみて甚費多かる、殊に東都には、大方かぶとの外、大なる木偶人あまた立ならべ侍る、一形のあたひ数百匁に及ぶ有とぞ、是もまた時尚の観なりし、〈◯下略〉