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守貞漫稿
二十七
今世の飾り鎧兜、其製金革お用ひず、厚紙お重子張り、胴草摺小手脚当用之て製造し、或は切小ざ子の如く、其他種々外見真の甲冑の如く、蚕の組糸お以て威之、紙張り表に漆し、或は黒ぬり、又は鉄粉お塗り、所により鉑お押し蒔絵お描き、金めつきの銅具お打て精製なるあり、大さも著用に足るあり、又は小形もあり、粗製は紙張の表に、緋縮緬等お張り製すもあり、
今日の飾具足、及び其他武器、摸造の諸物、総て京坂の方花美精製お用ふ家多く、江戸粗製多し、上巳雛遊調度は反之、京坂甚粗也、