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東都歳事記
二四月
廿五日 今日より五月四日迄、冑人形、菖蒲刀、幟の市立、〈場所は三月の雛市に同じく、往還に小屋お構へ、甲冑、上り冑、幟旗挿物、馬印、菖蒲刀、鎗長刀、弓箭、鉄砲、偃月刀、其外和漢の兵器、鐘逵像、武将勇士の人形等お售ふ、夜にいたれば、灯燭にかヾやきてうるはしく、買人昼夜にたえず、 再刻の江戸総鹿子に雲、通塩町、昔は此町にて冑人形細工人多く、塩町人形と号し、其製麁なり、価の賤お以、田舎人のもてはやしける、今はこの名おだに知る人希なり雲々、 此節より菖蒲刀、街お売歩行、〉
 ◯按ずるに、雛市の場所は、三月三日篇に載せたり、