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枕草子

せちは 五月にしくはなし、〈◯中略〉むらさきのかみにあふちの花、あおきかみにさうぶの葉、ほそうまきてひきゆひ、又白き紙おねにしてゆひたるもおかし、いとながきねなど、文のなかにいれなどしたる人どもなどもいとえんなる、返り事かヽんといひあはせ、かたらふどちは、見せあはせなどするおかし、人のむすめ、やんごとなき所々に御文きこえ給ふ人も、けふは心ことにぞなまめかしうおかしき、夕ぐれのほどに、郭公の名のりしたるも、すべておかしういみじ、