[p.1200]
空穂物語
祭の使
かヽるほどに、六月の比ほひにもなりぬ、大将はいけひろくふかく色々のうへきヽしにておひたり、水のうへにえださし入などしたるなかじまに、かたはしは水にのぞき、かたはしはしまにかけて、いかめしきつり殿つくられて、おかしきふねどもおろし、うきはしわたし、あつき日ざかりには、人々すヾみなどし給ふ、十二日いとまの日にてまいりたまはぬお、つりどのにてけふすヾませたてまつらん、けうあらんくだものなど給へよなど、きヽしおきたまひて、つりどのにいで給ひぬ、