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禁中近代年中行事
六月
十六日 嘉定、女中ことばにかつうといふ、
昼すいせん上る、葛切の事なり、銀のはちに入る、三方に銀の大ざら七寸程の銀のちよくに、しやうゆの汁入る、銀のすくひ有、ゆのこすくひなり、御はし有 次に七かじやう むくぐわし七色、あいのかわらけ七つに入、七色の内うづら餅有、うづらの鳥のごとし、親王法親王方へ大まんぢう被下、さし渡し五六寸ほど、是おたいぶまんぢうといふ、親王方女中方より、いろ〳〵の蒸ぐわし献上なり、 摂家、親王、清華、諸家の堂上、御内の地下の北斗迄に、くろ米壱升六合已下、此米お一条どほりの二口屋といふくわしやへ遣し、米壱升六合相応のむしぐわしおとり、堂上方此くわしお御所へ持参してまいる也、