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古今要覧稿
時令
年中行事略式雲、星の宮の神事は、筑前国大島の星の宮と雲あり、北は彦星の宮、南は織女の宮、両社の間の川お天の川と称す、土人婚礼の望ありて、女お得んと欲する人は、川北の彦星の宮に祈る、七月朔日より七日の夜半に至り、近郷の男女群集して、昼夜の神事厳重なり、川の中に二つの棚おかまへ、名香お熏、灯明おかヽげ、瓜、果物、神酒等おそなへ、竿のはしに五色の糸おかけ、梶の葉に歌おかきてたむけ、琴笛等お列らね、たらひに水お湛へ、星の影おうつし、若男女の望ある者は、其名前お短冊にしるし、彦星の棚には男の短冊お置、織女の棚には女の短冊おつらね、七日の夜に必ず風ありて、彼短冊お川水に吹流す、若婚縁の神慮にかなふものは、男女の短冊、たらひの水にならび浮む、是お縁定の神事と号する也、〈◯下略〉