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東宮年中行事
七月
おなじき日〈◯七日〉きつかうてんの事
この日のゆふべに、ぎやうじのくら人、ひのござのみすおたれて、にはにひろむしろ三枚おしきて、しゆでんのかみのしもべこれおしく、そのうへにつくえおたてヽ、まつりの物どもおそなふ、たいりやくさしづにみえたり、くら人ならびに所のざうしき、おなじき所のしゆ、たちはきおのおのそくたいおして、これおやくす、又同ともがら、よもすがらかはるがはるこの所に候、ちやうくわむもせう〳〵候べきなり、あか月にのぞみて、つくえならびにむしろのうへにかうおちらす、あけぼのかたにまつりのぐどもおてつす、
ざう料 むしろ かもれう しろきのつくえ四きやく もくれう
御かヾみ 御ひとり しやうのこと こがねしろがねのはり 香粉等 已上自御所給之
奠物等 蓮花とうだい 已上ちやうにまうく
あぶら しゆでんのかみ 今案、つくえはうちにも、春宮にも、ふるくはづしよれうのつくえおもちいられたり、しかるおえんぎ十七年に、うちに候し朱のつくえお、とヽのへまうけられてのち、そのつくえおもちいらる、とうぐうには、もくれうしらきにてたてまつる、たヾしとばのいんのとうぐうの御時、しらかはのいむより、これおたてまつられたりと見えたり、その日あめふる時には、びんの所にとヽのへまうく、ふるくはぎよゆうある時は、くわんぐえんにたへたるともがらめして、そのことおはり、又別の仰にて詩歌の事もあり、