[p.1244][p.1245]
源氏物語
四十一幻
七月七日も、例にかはりたることおほく、御あそびなどもし給はで、つれ〴〵にながめくらし給て、星合みる人もなし、まだ夜ふかう一ところおきい給ひて、妻戸おしあけ給へるに、前栽の露いとしげく、わたどのヽ戸よりとおりてみわたさるれば、いで給て、七夕のあふせは雲のよそにみてわかれの庭に露ぞおきそふ