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長崎聞見録

長崎盆祭の事 長崎の風俗にて、七月十三日は迎火、十五日は送り火とて、墓前に大きなる雪洞(ぼんぼり)おかけつらね、火しく見ゆ、その墓は、皆四方の山々にあり、〈◯中略〉扠藁にて船お作り、生霊お祭りたる種々のものお皆積み、此船にも小きぼんぼりお、多く掛つらねて持行、大きなる船は、一二間もあり、人拾人弐拾人もかヽる、また貧家の船は小さく、壱人にて持たるもあり、大波戸といふ海浜にて、火お付て推流す、其火海面にかヾやきて、流れ行くさま火しき也、此夜は、みなみな寝る人なく、暁比まで如斯さわぎて、賑々しきなり、