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枕草子
十二
うちとくまじき物 右衛門のぜうなるものヽ、えせおやおもたりて、人の見るに、おもてぶせなど見ぐるしう思ひけるが、伊よのくによりのぼるとて、海におとしいれてけるお、人の心うがりあさましがりけるほどに、七月十五日、ぼんお奉るとて、いそぐお見給ひて、道命あじやり、
 わたつうみにおやおおし入てこのぬしのぼんする見るぞあはれなりける
とよみ給ひけるこそ、いとおしけれ、〈◯又見続詞花和歌集二十〉