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義残後覚

入江大蔵之丞口論の事附力業の事
角て月日おふるほどに、七月〈◯文禄元年〉十五日の夜、芸州御城の馬場において、諸方のさぶらひ、小姓衆、さみせん、つヾみにて、大おどり(○○○○)おはじむるほどに、大蔵之丞も、道場の太鼔、三尺四方ありけるに、つなおつけてくびにかけ、是おうつて中おどり(○○○○)し給ふほどに、平河は常にねらひけるにや、これにて見付、人にまぎれておしくみ、一物のものきれにて、覚えたるかとて大肩おうつて、そのまま大勢にまぎれてのいたりけり、