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嬉遊笑覧
八慶賀
八朔の賀は、〈◯中略〉世諺問答に、はじめはたのみとて、よねおおしきに入て、人のもとへつかはしけるとかや、ほつかひとてわらはべのもちはべるはこの故にやと有、たのむは、もとたのみにて、田実なり、源氏あかしの巻に、このよのまうけ、秋のたのみおかりおさめなどいへり、たのむとて、人に物贈らむこと、けふに限るべきにあらず、民間田穀の新たにみのりたるお相賀して贈りしが、上ざまに及び、たのむ方へ物奉りしより、専らたのむといひならひしなり、