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九月九日は重陽と称す、朝廷にては、天皇紫宸殿に出御して、菊花宴お臣下に賜ふ、之お小儀と為す、若し宴会お停めて出御せざる時は、上卿宜陽殿の平敷座に著して、菊酒お侍臣に賜ふ、之お平座と雲ふ、幕府にても亦此日お祝日と為し、諸侯登城して之お賀す、後世民間にては、親戚朋友の間に栗子お贈遺し、又菊酒お飲むお以て、栗節供、又菊節供と称して之お祝せり、又禁中にて十月に至りて、更に菊花宴お行ふことあり、之お残菊宴と雲ふ、