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古今要覧稿
歳時
釈名 亥日餅〈年中行事秘抄〉 亥子餅〈同上〉 御厳重〈二水記、両朝時令雲、三条右大臣〈実条公〉江戸参向の時、羅山子道春に談ぜられて雲、亥子餅いつくしくかさぬる故に、厳重と称す、厳の字いつくしと訓ぜり、しかるお俗に亥の日たるによつて玄猪と雲、献猪と雲ならはすは、無根の僻記なり、弘賢曰、御ゆどのヽ上の記に、けんしやうと書たるは、かなのたがへるなるべし、〉 豚之厳重〈宣胤卿記〉 げんでう〈後水尾院年中行事〉 玄猪〈続谷響集雲、玄猪或謂亥、猪也、冬属水、故呼為玄猪、弘賢曰、女房私記に、けんしよと書たるは、かなたがへり、〉 お玄猪〈雅筵酔狂集雲、俗にお玄猪といふは、黒き猪といふにて、此包たる物の名にはあらず、いつよりか誤てしかり、又室町将軍家より此日餅に作り花など相そへ、いつくしく飾り、内々にて献上あり、仍て御厳重ともいふ、其外説々あり、〉 御亥子〈殿中申次記〉 御源猪〈年中定例記、かり字也、〉 御まいり切〈宣胤卿記〉 御成切〈御事始記、成氏年中行事、御事始記雲、御なりきり共申、又御厳重とも申なり、弘賢曰、なりきりとは、喰さしお賜はるゆえに、いひならはせし異名なるべし、喰さしお賜はるよしは、後水尾院年中行事に、御いきおかけらるヽと、みえたるも其意なるべし、年中定例記には、そも御口にあてられて、まいらせられ候お、賜はるよし見えたり、〉 おなれぎり〈大友興廃記、おなりぎりの転語なり、〉