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禁中近代年中行事
十月
御げんぢやう〈戌の日の夜〉 白もち、赤もち、〈あづきの汁にて色付る〉くろもち、〈くろごまにてあへる、あいかわらけに、高盛三つ三方壱つにのせ、それに御いきおかけ給ふ、〉 折敷合 へぎ板にて長さ七寸程、横四寸程、高さ三四寸、餅の内にあづきお入、なまづきあづきもち、米半分ほどはつぶにて有、是お箱の大さにきり、五つかさね入、もちの間々へさヽの葉おしき、のせもちといふ、丹波国野瀬の里より上る、 亥の日三つあれば三度上る、御所の仕丁とりに行也、野瀬もちお二つに切、あいかわらけに入、三方にて御まへ出る、此次につく〳〵出る、 亥の日三つ有時、初菊、〈しのぶの葉三度とも入〉中紅葉、下鴨脚、 夜御前〈江〉赤黒の餅十計、菊紅葉鴨脚の時葉お敷、もちおかわらけ五つに盛ならべ、足打にのせ二膳出る、はしなし、此次につく〳〵御前よりすべる、当番の堂上方へ出る時、表使の女中きぬおかたにかけ、左のかたにかける、持まいり直にかへり、伊予の局へさがるなり、 宮々大臣以上上臈の御方へは、くろもち壱つ、引合紙うすやう包にして、小かくにのせ、白紅の水ひきにて十文字にむすび被下、其外堂上方大奉書にて包、堂上の家来長橋のそうしや所へ、硯ぶた持参申請かへる、御内々相勤、地下の者には白もち壱つ、杉原かみにて、うすやう包にして、人数ほどぶんこのふたに入被下、