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御湯殿の上の日記
慶長三年十月七日、たんばののせこヽろみに、長はしよりとりよせ候て、十二がうまいる、 十一日、御いのこにて、いつものごとく御げんじやう申いだしあり、のせ久しくまいり候はぬとて、たんばへ尋ね候へば、こしらへこんよし申候て、長橋より百講申つけ候、けふ百講のほうし、のせのしやうお、しまずりうはくと申ぶし、ちぎやうにとりしとて、百かうしん上申、女御ひろう、こんえのえぢより御申あり、のせ、御所々々、女中、男たち、御配りあり、いのこてんのかちん、いつものごとく二折参る、藤宰相申つぎ、こよひのしそく、れいぜい、四辻少将也、御盃いつものごとくまいる、いまだ御心わろく候て、御盃も三ごん一どに重ねまいらせ候て、男たちの御とおり中の口にてあり、長はし御げんじやうも御いだしあり、 八年十月四日、女御の御かたより、かき参る、のせとし〴〵のごとく、おほせつけられ候へば、ほりのけんもつむすこ、ちぎやう所にて、みやうがのためにて候まヽ、申つけ上申候はんよしにて、百五十かうしん上申、 五日、御いのこにて、御げんでうはう〴〵より参りていづる、夕かた御さが月三ごん参る、つく〳〵いつものごとく、ひとへぎぬにて参り、女中おとこたち御とおりあり、御げんでうくださるヽ、しやうぐんへ御げんでう、うすやうにつヽみて参る、 十七日、御いのこにて、御げんでうはう〴〵より申に参りていださる、夕かた御さか月いつものごとく、女中おとこたち御とおりあり、 廿九日、御いのこにて、御げんでうどもはう〴〵申に参る、