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成氏年中行事
十月
一十月朔日御祝如例、亥子之御祝三度ある時は、三度ながら御祝有之、御成切管領よりは以使可被下由被申上、其使に御対面、其以後御使被遣之、管領御成切直に請取有頂戴、御使に一献、其後被出太刀、帰参して其由お申上、自余の外様へは近付方々申出して被遣之、奉公中在郷之方々御亥子之御祝に、多分参上ある也、
一亥の子の餅之事、御祝亥の時也、白餅、赤豆餅、黒餅、衝重に積て、胡麻の粉、小豆の粉、栗のこ、ふちだかに紙おしき、三種のこお、三所におきて御前に置也、松の木にて、りうごのせいにうすお作りて、柳の木にてきねお二本作、強飯おうすに入、三種のこおかけて、きね二おおしそろへ、右の手にとりて、女はいのちつくさいわいと、三きねついて食べし、おとこはいのちつくつかさと、三きねつきて食べし、白強飯まいる也、