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年中行事歌合
三十五番 右 追儺   内大臣
いまはたヾ一夜になりてあしのやのいるがごとくにとしぞくれぬる〈◯中略〉
右追儺とは、年中の疫おおひはらひ侍るこヽろにや、ひかる源氏に、なやらふなど申侍るも、儺お追にて侍るなり、やらふとは追と雲ことばなり、夜の事なれば、殿上の侍臣、桃のゆみ、あしの矢おもつて、御殿のかたにたちておにおいるなり、四目あるおそろしきおもておきて、手にたてほこおもつ、また侲子(こわらはべ)とて二十人、こんの布衣きたるものおそつして、内裏の四門おめぐるなり、慶雲二年〈◯二年、三年誤、〉よりはじまるとぞ、〈◯四目以下、拠一本補、〉