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東都歳事記
四十二月
節分〈立春の前日也〉 亀戸天満宮追儺の神事〈酉の時社前に燎おたき、神楽お奏し、双角四目青赤の二鬼に出立する者、猿の皮おかぶり、鹿角の杖おつき、社前に進出づ、巫出て問答し、幣杖にて鬼お打つ、其余五人の巫、牛王杖お持て追ひ退く、都て当社の神事は、筑前大宰府の例にならへりとぞ、◯中略〉 雑司が谷鬼子母神堂追儺〈今夜院主衆僧内陣に於て、陀羅尼品お誦す、十三巻に至て、番頭尊前の供豆お、拝殿のさかひの障子の穴より打出す、参詣の男女これお拾ひて守とす、この豆お懐中なす時は、不時の怪我過ちお除き、又は疫病お辟るとて、大に尊信せり、◯中略〉 下谷五条天神宮神事〈酉の刻追儺あり◯下略〉