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内安録
一恭廟〈◯徳川家斉〉御時、御膳所御台所より、節分の夜、御吸物に白魚お調じ奉るは、いか成訳かと思ひしに、禁裏附となりて、節分の夜に内侍所へ警固上げに廻りければ、定式白魚の吸物、地紙形白木の硯蓋に松の枝お立て、肴品々お盛りたるお出し、行事官と武家附と盃事おする定例也、さすれば節分に白魚の吸物といふ事は、古く京にも江戸にも用ゆるものなるべし、