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守貞漫稿
二十七
厄払 京坂は節分の夜のみ来る、江戸も古は節分のみなりしが、文化元年以来、大卅日、正月六日、十四日に来る、 追儺の豆、大坂は年数おかぞへ一銭お加へ、白紙に包み与ふ、江戸は十二銭お添るなり、又京坂はやくはらいましやうと雲、江戸はおんやく———と、御字お付る、厄払の辞のみ、音節及び文句ともに三都相似たり、蓋文句は年々種々あり、 あヽら、めでたいな、めでたいな、だんな住吉御参詣、そり橋から西おながむれば、七福神の船あそび、中にも夷と雲人は、命長柄の棹おもち、めぎすおぎすの糸おつけ、金と銀との針おたれ、釣たる鯛が姫小鯛、かほどめでたきおりからに、いかなる悪魔が来るとも、此厄はらひがひつとらへ、西の海とはおもへども、ちくらが沖へさらり、 或は役者名尽し、魚尽、何尽など種々お雲、