光台一覧

五

萩の城主松平大膳大夫兼長門守殿は、毎年禁中へ年頭歳暮勤められ候、大身之遠国大名可成由緒やらん、大名多きなかに一人の格式也、往来見申たる事の候文言、一翰奉啓上候、先以雖厳寒節御座候、禁裏倍御機嫌能被遊御座、恐悦之至奉存候、依之為歳暮之御祝儀、目録之通奉献上之候、右之趣可然奉仰奏聞候、〈吉広〉誠恐誠惶謹言、
　　　十二月幾日　　　　　　　吉広書判(長門侍従)
　　　　　庭田前大納言殿　高野前大納言殿
如斯返書文言
芳墨致披閲候、如来諭雖酷寒之節候、禁裏倍機嫌能被成渡御恐悦之旨、依之為歳末之御祝儀、目録之通御献上之趣共、則達天聴候処、叡感未斜御事候、猶以女房奉書被出之進之候、恐々謹言、
　　　十二月幾日　　　　　　保春　重条
　　　　　長門侍従殿