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東宮年中行事
十二月
しものむまのひ、みぐしあげの事、
このひ御めのと、もしはしかるべき上らう女房、御ぐしおあひぐして、宮づかさのびりやうにのりて、殿もんれうにむかふ、ぎやうじのくら人あひしたがふ、御くしは御ころもばこのふたに入たてまつる、御くし十枚ばかりあひぐせらる、おりて御はらへにいれたり、ちんこんのまつり御衣のやうに、やつあしにすへたてまつりて、女房ならびに、左右ひやうえ、たちはきぐぶ、殿もんれうにいたる、たヾしかのれうやけてのち、大くらしやうひくりおまうく、しゆぜんけむ、ぐぶの人人のれうに、きやうおまうく、御ぐしやく所には、あなおほりて、そのうへにとりいのやうにきおたてヽ、これおやく、事おはりてかへりまいる、
 今案、としのうちにはるたつとしは、たつはるよりさきのむまのひ、この事あり、又いまだ火もともさぬさき、ほしのいまだいでぬほどに、これおやくといへり、行事の宮づかさ、ならびにくら人、よく〳〵たづねさたすべし、おなじく殿もむれうにゆきむかふべきなり、