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梅園日記

晦日掃 今の世に晦日掃とて、毎月の晦日に、家内お掃除するものあり、〈◯中略〉十二月の煤掃も、もとは晦日なりしにや、俊頼朝臣の散木集雲、としの暮の歌とてよめる、さらひするむろのやしまのことこひにみのなりはてん程おしる哉、顕昭注雲、さらひするとは欋(さらひ)とかけり、掃除する事也、むろのやしまとは、竃戸おいふと古髄脳に書り、除夜に民の竃戸おさらひて、こんずる年のうちの事の吉凶みな見ゆといへり、火お日々にあてヽ、きえ、きえぬお見てしるなどもまおすめり、ことこひとは、みんと思事お雲也、それに我身のなりはてんほどおもしると読也、祇園修行日記雲、貞和六年十二月二十九日、今日晦日也、炱煤掃、宣胤卿記雲、永正元年十二月十九日、朝陰属晴、比屋煤掃、乱以前朔日式日也、厳嶋道芝記〈年中行事巻〉雲、十二月晦日、御煤掃、上番の社司衣冠引繕ひ、国文代下番等立まじはり御殿お清め奉る也、また草根集雲、歳暮、家々にはらひつくすおあやにくに空はすヽけておつる雪哉、とよめるも、除日なるべし、是も亦もろこしにあり、玉燭宝典〈巻十二〉雲、歳暮今世多解除、擲去破弊器物、名為送窮、太平御覧〈四百七十二〉雲、録異伝曰、昔廬陵邑子甌明者、従客賈、道経彭沢湖、毎輒以舟中所有多少投湖中雲、以為礼、積数年、後過見湖中、有大道、有数吏、乗車来候雲、是青洪君、以君前後有礼、故要君、必有重送君者、皆勿収、独求如願、及去果以縑帛送、明辞之、乃求如願、神呼如願使随去、如願者、青洪婢也、明将如願帰、所欲輒得之、数年大成富人、歳朝鶏一鳴、呼如願、如願不起、明大怒欲垂之、如願乃走、明逐之於糞上、糞上有昨日故歳掃除聚薪、明乃以杖垂使出、久無出者、因曰女但使我富、不復垂女、今世人、歳朝鶏鳴時、転往垂糞雲、使人富也、これ歳朝に昨日故歳掃除とあり、除日に掃除したる事明らか也、夢梁録雲、十二月尽、俗雲月窮、歳尽之日、謂之除夜、士庶家不論大小、家倶洒掃門閭、去塵穢、浄庭戸、僧明本の中峯広録雁蕩除夜容雲、茅屋三間冷似水、灰頭土面十余僧、掃除自己閑枝葉、不打諸方煉葛藤、就手掲開新歳暦、和光吹滅旧年灯、頂門別具摩醯眼、越死超生似不曾、楊循吉除夜雑詠雲、除塵旧室攻、遂安県志雲、除夜掃宅会、南野堂筆記雲、梅里薜炉斎廷文、五十未娶、有除夕詩雲、独送窮愁独掃塵、一回除夕一傷神、来朝記取年多少、不敢分明説与人、みな除日の煤払なり、