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農業自得

豊凶 豊凶の日当は、其国其里々に皆あるもの也、予〈◯下野河内郡田村仁左衛門〉在所近辺は、彼岸に烏卵お産む年は豊作なり、不須の年は巣お始ても止るなり、おくるヽ年は違作なり、依て皆目当あるものなれども、心付ざれば有て無きも同様なり、又百日紅と雲はだか木あり、又さるすべりとも言、此木寺宮抔の辺にある木なり、此花は夏の土用より秋の土用前まで咲花なり、違作年には咲かぬる花なり、合歓木、つヽじ等の花も、多く咲は豊作の前表なり、皆諸鳥草木に至る迄、早きは陽にして豊作のしるし、おくるヽは陰にして違作としるべし、