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民間備荒録

食草木葉法
生黄豆(なままめ)と槿樹葉(むくげのきのは/きばらす)と一同に嚼之、味不作嘔、可以下咽、毎日二三合にて可度一日、〈唐の三合は、日本の一合五勺にあたるなり、〉 生松柏葉(なままつかしわのは)お食するには、用茯苓骨砕補杏仁甘草(ふくりゆうこつすいほきやうにんかんさう)、搗羅(つきふるひ)為末、取生葉蘸(ひたし)水、袞(まじへ)薬末同香美ありと雲り、〈如此のるいはよく〳〵試て用うべし、 今年(宝暦五年)西国にて松皮お食せし事お聞伝へ、飢民ども製して食しけるに、製法よからざるか、又松の木西国とちがいあるか、吐瀉腹痛して死する者多きよし、この生松葉お食する法、我いまだ試ざれば、若し其毒にあたりて死するものあらんことお恐る、能試て後用べし、◯中略〉
右四方荒政要覧に見えたり、辟穀二方は、貧民の力にて調合なるべきにはあらざれども、好事の人のために載す、