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過庭紀談

国史に、かばねのことお、尸の字お書き、姓の字おも書き来れり、姓の字おかけばとて、かばねのことお姓氏の姓と思ふべかのらず、かばねは爵の類にて、爵とも同じからず、段々の階級ありて首尾がよければ段々に改まりて上る、首尾が悪しければ奪はれもする下りもする、何事なければ代々もなのる、姓氏の姓とは格別のことなるお、古人謬りて姓の字お用ひ来りし故に、凡その国史お看る時、紛らはしきことあり、混ずべからず、